メンタルヘルスとは

1.はじめに

現代社会と「心の健康」について(平成9年版厚生白書より)

○ 近年、神経症、うつ病、心身症のほか、睡眠障害、摂食障害、不登校が

  増加している。

○ 現代社会における過大なストレスが、さまざまな「心の病」の原因の一つ

   となっていることから、ストレス対策が重要である。また、アルコール依存

   症と薬物依存についての予防対策の一層の推進も必要である。

○ 子どもの心に大きな傷を残す「児童虐待」が増加している。これを防ぐため、

   地域の支援体制づくりを進め、身体の保護と心のケア体制を充実することが

   必要である。

○ 精神疾患による入院は多数かつ長期となっている。ノーマライゼーションの

   考え方の一層の普及のためにも、精神疾患に対する「心の障壁の除去(心の

   バリアフリー化)」を進め、「地域ケア体制」を構築していくことが重要で

   ある。

2.心の健康(メンタルヘルス)とは

 精神的に健康な状態とは?

 ○人格に調和があり、一貫性と安定性がある。
 ○自分を取りまく現実をありのままに受けとめることができる。
 ○欲求不満があっても、それをある程度コントロールできている。
 ○自己の主体性を保ちながら、他人との間に良い人間関係を持つことができる。
 ○新しい課題に直面したとき、回避せず、現実的、合理的な解決をはかれる。
 ○日常生活の中に楽しみを見いだし、社会的役割と活動をすることができる。
 ○将来に対して可能性や希望を持ち、自己実現をめざすことができる。
 ○精神病、人格障害、精神遅滞、アルコール依存や薬物依存などの精神障害にか   かっていない。

3.精神保健の定義:(WHO)


 「精神保健とは、生物学的(biological)、医学的(medical)、教育的(educational)及び社会的(social)な側面から精神健康を促進して、よりよい人間関係を作ることである」


4.精神保健(mental health)の領域

     
1)広義の精神保健:精神的不健康の予防(厚生的精神保健)

 すべての人間を対象に積極的に精神的健康の増進をはかる。



 ●縦断面;ライフサイクル(life cycle) のそれぞれの時期における

            精神保健発達課題と危機。発達段階と防衛機制。

  ●横断面;社会生活の各場面(家庭、学校、職場、地域社会など)に

            おける精神保健

  ○家庭における精神保健:家庭崩壊、家庭内暴力、不登校、離婚、自殺

        生活環境や社会環境の整備・改善。健康福祉センター、保健所、

        医療機関の精神保健相談。

    ○学校における精神保健:いじめ、校内暴力、不登校

	       集団生活の訓練、忍耐力や社会適応力の養成、児童間の人間関係・

        教師と児童間の人間関係の学習。

    ○職場における精神保健:産業精神保健。集団における人間関係の調整、

    チームワークと役割行動、労働環境の調整、事故の予防、休息や

        娯楽の取り方。




2)狭義の精神保健:精神疾患の正しい見方、処遇の改善、精神疾患の予防

    (予防的精神保健) 精神障害者が対象となる。


   (1)精神障害の一次予防:精神障害の発生を予防する。

     精神保健知識の普及、心身および社会的環境の整備。日常生活、就職、

          結婚問題などきめ細かい対処。

  (2)精神障害の二次予防:精神疾患の早期発見・早期治療。慢性化の予防に

          より、社会適応能力を保たせる。後遺症の予防。

  (3)精神障害の三次予防:精神疾患の治療後の社会復帰やアフターケア、

          再発の予防。精神障害者の社会復帰、地域ケア。



     ○ 国民の精神的健康の保持・増進による精神障害の発生の予防(一次予防)、

        精神障害者の医療(二次予防)と精神障害者の社会復帰(自立と社会参加)

        の促進(三次予防)をいかに体制化するかが重要である。
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