統合失調症の脳の形態学的評価
1.統合失調症の脳の形態学的変化について
19世紀末に統合失調症を「早発性痴呆」として疾患単位にまとめたE. Kraepelinは、統合失調症に脳の形態変化を想定していた。しかしながら、その後の解剖学的研究によっては20世紀前半まではこの疾患に特有の所見は実証されなかったため、「統合失調症では脳の形態に変化はない」と考えられていた。
1976年に英国のJohnstoneが、CTスキャンによる検討で、統合失調症の患者に脳室拡大が認められたと報告して以来、脳の形態学的変化の研究が活発化した。
その後、MRI検査が導入され、更に統合失調症の形態学的変化が詳細に研究されるようになった。
1990年には、ドイツのBogertsが、MRIを用いて、初回エピソード患者で、扁桃体と海馬の体積減少が見られたことを報告した。
2.統合失調症の脳の形態学的変化
Shentonの総説(2001)によると、1988-2000年の期間に脳の形態学的評価に関連した報告は193あり、その結果を総括すると以下のようになっている。
上側頭回の減少 100%
側脳室の拡大 80%
内側側頭葉構造性の減少 74%
第3脳室の拡大 73%
頭頂葉の体積減少 60%
前頭葉の体積減少 59%
視床の体積減少 42%
すなわち、統合失調症では「前頭葉から側頭葉にかけての形態的変化が大きい」ことが示されている。
3.これらの知見から、統合失調症では脳に軽度の形態的変化が存在すると考えられる。